2023.04.01

アーティスト支援第四弾 / 冥丁 -MEITEI-

本日よりアーティスト支援第4弾がスタート。
今年の支援は広島県尾道市在住のアーティスト「冥丁 (メイテイ)」。
これから一年間、多方面でサポートしていきます。

冥丁 (メイテイ)
日本の文化から徐々に失われつつある、過去の時代の雰囲気を「失日本」と呼び、現代的なサウンドテクニックで、日本古来の印象を融合させた私的でコンセプチャルな音楽を生み出す広島在住のアーティスト。
エレクトロニック、アンビエント、ヒップホップ、エクスペリメンタルを融合させた音楽で、過去と現在の狭間にある音楽芸術を創作している。

企画に先立ち、インタビューを行いました。

                         

ー初めて耳にする方は、「唯一無二の世界観」に戸惑う方もおられると思います。
劣化したテープ音・儚げなピアノ・和楽器・わらべ歌や民謡。様々な音を丁寧に紡ぎ合わせ制作されたサウンドからは、どこか懐かしい現代にはない「情景」が浮かんできます。
“LOST JAPANESE MOOD”というテーマを掲げ、活動されている冥丁ですが、活動の根源を教えてください。ー

自分の過去の体験や現在の生活を通して自然と生まれたテーマに基づいて活動しています。
幼少期から日本の風習やセンスが残るような場所で過ごした経験も大きいのですが、私的な原体験の一つとして、10代の頃に短期留学をしたことで感じた経験も現在の冥丁に影響を与えています。
当時流行の日本の音楽を海外で聴いた時に、初めて向こう側から捉えた音楽の印象を体感しました。海外で聞く日本の音楽に、日本のオリジナリティーを感じることができず、虚しさを感じたことを覚えています。
その頃は、将来の僕が音楽でキャリアを築くとは想像もしていなかったのですが、この体験は振り返ると大きなものでした。
それに加えて、自分が聴いてみたいと思える国産の音楽が少なかったんですよね。探せばあったのかもしれませんが、掘る側よりも作り手側になる方がカッコいいと思ったんですよね。
だからこそ、日本を感じることができるようなアイコニックな独自性を構築したいと強く感じました。


ー“冥丁”というアーティスト名からも独自性を感じますが由来はありますか?ー

「冥」は「人びとが見落としている闇のなかの存在を再編していく」
「丁」は「使い、奉公する人」
「冥丁」は人びとが見落としてきた感覚を音楽で伝えていきたい、希望のある未来を見出したいと言う意味を込めています。

僕の個人的な意見としては、現代の社会は合理性を重視するあまり、枠に収まらない種類の存在を省くような傾向があると思います。
でも、世の中には「声にならない声」がありますし、それこそが真実だと思います。非合理な存在もまた人間だと思います。少なくとも僕はいつもそういうセンスを大切にしたいと思っています。


ー私達の職業にも近い部分を感じます。  沢山の商品が生まれて来る世の中だからこそ、 「ホンモノ」を「人」を通して伝えていく事が大切なんじゃないかなと。ー

オーナーの中本さんとお会いした時、そこにも熱い共感を感じました。初対面にも関わらず、考え方に親近感と刺激を受けたのを覚えています。僕みたいな稀有な男にもフランクに接してくれて、既に頼もしい兄貴のような存在ですね。


ーその日は、日が暮れるまで話が弾んだと聞きました。(笑) ー

はい。年末に初めてお話ししたんですが、気づけば日が暮れてて…あっという間に時間が過ぎたのを覚えています。明るい時間から話が始まり、外を見たら真っ暗で雪も積もっていましたね (笑)
広島出身・在住で活動していますが、作曲現場には僕一人なので、日常的に人と関係を築くことは少なかったんですよね。
コロナ禍という事情もありましたが、仕事のチームは海外ですし、日本のクライアントの方々は東京なので、広島では仕事場に缶詰めでした。
そのような状況が当たり前だっただけに、広島でこのような「ご縁」を頂けることが、とても有難いです。


ー嬉しいですね、こういった出逢いって何かが始まる予感がしてワクワクします。ー

不思議ですよね、以前から知り合っていたかのような自然な流れを感じます。

ー「冥丁」が制作されている音楽のインスピレーションはどこから湧いてきますか?ー

最近は音楽から影響を受けることは少なくなり、しばしば他の分野で独自の表現をされている方に影響を受けています。
アパレルやファッションの世界ですと、あるデザイナーさんの洋服にも影響を受けていますね。
特にこの数年は、その方が持つ世界観も更新されている部分もあって、さらに深みを感じています。袖を通す時に感じる高揚感と満足感は、音楽と同じだなと思っています。
彼と同時代を生きることができて光栄ですよね。僕のクリエーションにも繋がっています。


ー私達が知り合う切っ掛けも、店舗を通じてそのデザイナーさんのブランドですもんね。こうやってお話を伺っていると、私たちが繋がったのは必然の様に思えてきますね。
最後に、今後の活動について教えてください。ー

そうですね、既に中本さんからアパレル業界をはじめ各方面の方々を紹介していただいいています。
冥丁の活動の幅が広がるタイミングを頂けているので、自然な流れの中でそれを「カタチ」に変えて行ければと考えています。広島だからこそ出来ることや、広島から発信出来ることにも挑戦してみたいですね!
ここからさらに、新たな冥丁を皆さんとご一緒に想像して行くことができれば幸甚です。