11月末日、中目黒にあるPHIGVELの直営店PRODにお邪魔してきました。
(左から、才迫正道・東野英樹氏・黒河将吾氏)
才迫 正道/HIGHBRID店長(以下、才迫)今日はよろしくお願いします。
東野 英樹/PHIGVELディレクター(以下、東野)こちらこそ。何から話そうか?
才迫)ブランドは2002 年スタートなんですよね。
20年ってある意味特別な部分なのかなと思うのですが、何か思うことあったりしますか?
東野)あまり普段から意識したことはないんだけど、今回の20年っていうのは意識はあったかも。
だから何かをやるっていうのは今のところはないのだけど。。。今までもあまり周年で何かやるっていうのもなかったしね。
でも唯一やったのはPRODが10周年の時にイベントやったくらいかな。
中目黒に移転した翌年が丁度10年だったから。ねえ、クロちゃん(黒河)。
黒河 将吾/PHIGVELマネージャー(以下、黒河)ですね、店舗のショップコートやエプロンを作って、写真展示して、飲食や音楽もイベント用に準備して、ちょっとしたパーティーみたいな感じでしたね。
東野)なんかあまりね、周年毎に何かやるとかは考えてないけど、勿論タイミングで出来ることがあればと言うくらいで。
そんな特別なことでもないし、いつもと変わらないままなのかなって感じが大きいですね。
才迫)PRODといえば、移転する前のお店も印象に残っています。
千駄ヶ谷のロンハーマンの奥の方にあって、正直「なんでここに出されたんだろう?」って初めは思いました。
黒河)その時、僕はまだPHIGVELに入社してなくて、PRODに行こうとすると100%迷ってました。
才迫)同じくです。特に僕たちみたいな出張で東京に向かう組は 笑。
黒河)あまり目印もなくて、次行く時には忘れてますもんね。
才迫)東野さん、あの場所に出されたのには何か理由あったりするんですか?
東野)場所どうこうはないんだけど、お願いしていた不動産屋から、「探している条件とは違うんですが、是非見て頂きたい物件があるんです。」って連絡があって、見に行くと全然条件に当てはまらないんだけど…。建物なのか雰囲気なのか、グッと掴まれた部分があってその場で決めてました。
(移転前のPRODの写真)
黒河)その話は知らなかった。直感で感じたってことなんですか?
東野)そんなカッコ良いのじゃなくて、その時は素直にそう思ったんだと思うよ。
才迫)出張の際に、時間があると気になる店舗を回ったりするんですが、自分がPHIGVELが好きなのを差し引いても魅力のあるお店でした。
東野)嬉しいです。内装も知り合いと一緒に作った店舗だから独特だったのかも。
黒河)それも知らなかったです。
才迫)のっけからマネージャーも知らない話のオンパレードですね 笑。
東野)いやいや、なかなか話題にならないと話さないとこだと思うよ。
才迫)僕のイメージなんですけど、PHIGVELってブランドはベーシックだけど独自の雰囲気があってスタンスが変わらないブランドだなって思います。
東野)自分でも思うけど、良くも悪くも変わってないのかもね 笑。
あっ、勿論自分達の中で結構変化はあるんだけど、表面的に見えにくいブランドなんだと思う。
言葉とかそういうものが先行したモノ作りが性格的に苦手なのもあるから、ビジュアルから変化が伝わりにくいブランドなのかなって。
色んなブランドがある中で、何が正しいかとかはないんだけど、イメージ先行の物作りよりは、アイテムやバックグラウンドから生まれるバランスを大事にしていきたいと考えていますね。
そうやって作ったアイテムってやっぱり愛着も湧くし、着用した人に伝わる「何か」も多いと思うから。
才迫)それは、僕も凄く思います。
今回お客様にアンケートを書いて頂いたら、不思議と東野さんが言われたことに近い感想が多かったんですよ。いただいた回答の一部を紹介すると
「シンプルなんだけど拘りが詰まったところが好きです。」
「10数年前に購入したアイテムを数年ぶりに身につけても新しい良さを感じることが多々ある。」
「カラーや素材やシルエットがシンプルだけど絶妙なところ。」
「洋服に興味を持つことになったパンツが今でも一軍で思い入れがあります。」
皆さんアイテムに凄く愛着を持たれてて、同じ意見が多かったのに驚きました。
黒河)才迫君からアンケートが届いたとき、僕も驚きました。
全部目を通してみたんだけど、自分達と同じことを感じてくれているのは凄く嬉しかったですね。
僕らが思ってることとお客様が感じていることが近いのが言葉として見れたのには驚きました。
その晩、家でお酒飲みながらちょっと泣きそうになりましたもん。
東野)伝わってるのがわかるのは凄く嬉しいよね。
黒河)あと才迫君、よく聞いたな〜って思いました 笑。
中々聞けないじゃないですが、こういうのって。
才迫)ですね。僕も普段は中々聞くことないんですよ。
でも今回この対談を考えたことや、今まで2回イベントを開催してお客様からPHIGVELの商品について問い合わせをいただくことも増えたのでせっかくならと張り切りました。
こういう機会って中々ないですけど、なんか大事ですよね。
12月に3回目ですから、よろしくお願いします!
東野)あっ、そっか、もうそんな時期だよね。準備しとくよ。
才迫)今まで2回イベントを開催して、前回店頭にも立っていただきましたが、広島のイメージってありますか?あとイベントに対してとか?
黒河)1回目(2020年12月)はコロナの関係で行けなくて、2回目(2021年6月)にやっと行けた時は、すごいお客様の層が広いなって感じました。
若いお客様ともお話できましたし、年齢層の高いお客様も多く、良い雰囲気でご紹介できたイベントだったなって印象があります。
年齢層って大体どちらかに偏ることが多いと思うんですけど、不思議な感覚でした。
あと同時にNEATさんのイベントも開催されてて、同じ空間でできたことも面白かったですね。その後も交友がありますし、ここでしか体験できないイベントだなと思いました。
東野)クロちゃんが言いたかったことをまとめてくれたのでその通りです。
でもイベントに対しては、正直なとこ言うと元々そんな得意ではなかったんですよね。
何か色々考えてしまうことや、ブランドの立ち位置とかを考えたりして、、最近までは積極的ではなかったかも。
才迫)ここ数年開催させて頂いてるってことは考え方が変わったところなんですかね?
東野)変わっていった一つの部分だと思う。長く変わらないスタンスでやってきた中で変わったとこ。
正直昔は少し斜に構えてた部分もあったり、必要性も感じれてなかったんだけど。
ブランドを続けていく中で、1度自分達の立ち位置を確立させようって時期があったんですよ。その時に色々やれる事を削ぎ落としていくと、やれてることって限られてるじゃんって。
このままじゃ、ただ取っ付きにくいブランドだなって気づいちゃって 笑。
もちろんそのお陰で、物作りに集中できた大事な時期ではあったんだけど。。
それとは別に考え方にも変化が生まれて、今ならイベントをする事で見えてくることもあるよねって思えるようになったのかな。
実際イベントに参加することで、自分たちが会えていない、その先のお客様に繋がることやその場所の「温度」を感じることが出来たのは嬉しかった。
黒河)その場所に行かないと感じれない事ってありますよね。
東野)最終的にいうと「人」なんですけど、その場所でしか会えない人や 出来事に魅力を感じています。今までそこを積極的にやってこなかったから、新鮮だし、その中で自分達が勉強になることも多くあるよね。
才迫)そういう場所や機会が作れていることは貴重だなって思います。
なので今回3回目のイベントでは、形を残したくて広島の別注アイテムの制作をお願いしました。
黒河)以前からご相談も受けていたんですけど、ようやく今回形になりましたもんね。
才迫)はい。やっと形にできました。
1回目のイベントから考えてはいたんですけどイベントを重ねることで商品に出来たのかなって思います。
ブランド・お客様と良い経験ができた事で、実現できた別注です。
職権濫用ですが、誰よりも自分が着たい一枚になってます 笑。
東野)それが一番大事だよ。僕たちも自分達が好きなモノを突き詰めて作ってるから。サンプルが上がった時に良いのできたな〜って思ったよ。
黒河)シンプルなんですけど、結構色んなところに手を加えたので今までにない新型になりましたよね。元々才迫君が言ってた、お客様とSHOPが共有できる一つのユニフォームみたいなアイテムを作りたいっていうコンセプトが僕も素敵だなって思い、それが形になったのでとても嬉しいです。
年齢やスタイルの違う様々なお客様に着て頂いて、共有して貰えると面白いですよね。
東野)こういう変化があるって、またワクワクするよね。
才迫)お二人からお墨付きも頂けたので、早く紹介したくてウズウズしています。12月に広島で一緒にお披露目ができることを楽しみにしています。よろしくお願いします!
東野・黒河)もちろん、こちらも楽しみにしています。広島で会いましょう‼︎
終
ref.
開催期間 12.16 (fri)〜19 (mon)
(イベント詳細はこちら)
ref. / Web Store
別注「EX W/CA DRIZZLER JACKET」
2022.12.16 / 11:00 発売
商品一覧
-about-
PHIGVEL(フィグベル)
“NEW CLASSIC”をコンセプトに掲げ、普遍的なアメリカンカジュアルやミリタリーウェアを基盤とし、あくまでもオリジナルに敬意を払ったオーセンティックなデザイン。
わずかな要素を足し引きすることで現代的に昇華させ、パターン・ディテール・素材感に重点を置いた、良質で品格のあるものづくりを目指し展開。
文・才迫 正道
在籍店舗/HIGHBRID
記事一覧
写真・桑原 法大
在籍店舗/DESCENDANT HIROSHIMA
過去記事
At the end of November, we went to PHIGVEL's directly managed store PROD in Nakameguro.
Masamichi Saisako/HIGHBRID Manager (referred to as: Saisako):Good to see you today.
Hideki Tono / Director of PHIGVEL (referred to as: Tono):Welcome. What should we start with?
Saisako) PHIGVEL started in 2002.I think 20 years is quite special in a way. Do you have any thoughts?
Tono) I normally don’t pay much attention to it, but this 20th year I’ve been somewhat more conscious of. That being said I don’t have anything planned… but it’s not like we’ve ever done anything for our anniversaries anyway.
We did however, hold an event on PROD's 10th anniversary. It just happened to be the year after we moved to Nakameguro.
Right, Kuro-chan (Kurokawa)?
Shogo Kurokawa / PHIGVEL Manager (referred to as :Kurokawa):Well, we made shop coats and aprons for the store, displayed photos, prepared food, and music for the event, it was like a little party.
Tono) It’s like, we’re not thinking of doing something for every anniversary, but of course if it’s good timing for us we would [like to].
[Anniversaries] aren’t too special, I feel everything’s just the same as usual.
Saisako) As for PROD, I remember the shop before it moved.
It was behind the Ron Herman store in Sendagaya, I actually thought at first, "Why is this store here?"
Kurokawa) At that time, I hadn’t joined PHIGVEL yet, and every time I would try to go to PROD, I would get 100% lost.
Saisako) Same, I think especially for people like us who only went to Tokyo for business trips (laughs).
Kurokawa) There weren’t any landmarks around, by the next time you tried to go, you forgot where it was.
Saisako) Mr. Tono, is there any reason why you opened the store there?
Tono) I didn’t have any strong feelings for where it needed to be. One day, the real estate agent I was in contact with contacted me saying "It's different from the conditions you're looking for, but there's a property I'd love for you to see”, and when I went to see it, it didn’t meet any of the requirements at all… However, I was moved by something, either the building or maybe the atmosphere, so I decided there on the spot.
Kurokawa) I’ve never heard that story. Do you mean you felt it with your gut?
Tono) It wasn't something that impressive, I just felt that’s what I should at the time.
Saisako) When I would go on business trips, I would often go around looking at stores I was interested in, and the store was attractive even if I took away the fact that I like PHIGVEL.
Tono) I'm glad to hear that.
The interior decoration was unique, I think, because it was built together with an acquaintance.
Kurokawa) I didn't even know that either.
Saisako) It’s an on-parade story from the start that even the manager doesn't know (laughs).
Tono) No, not at all. I don’t think it's something you’d talk about unless it came up in conversation.
Saisako) It’s just my image [of the brand], but I think PHIGVEL is a brand that has a basic but unique atmosphere to it that doesn’t change its stance.
Tono) For better or worse, I don’t think it’s really changed.
Of course, there are quite a few changes we went through internally, but I think it's hard to see that on the surface. Craft that puts words or writing in the forefront is something I personally avoid, so I think maybe thats why its a brand that’s change is hard to tell visually.
There are many brands out there, but there isn’t a correct way to do things. That being said, instead of making things that puts its image first, I would like to continue to put importance on the balance that comes from the items and their backgrounds. People find a real liking to items made in this way, and often times theres that “something” that people who wear items like this feel.
However, I would like to place more importance on the balance that comes from the items and background than on the product that precedes the image.
I think that the items made like that will make you feel attached to them, and there will be a lot of "something" that will be conveyed to people.
Saisako) I really feel the same way too.
When I asked customers to fill out a questionnaire this time, there were many impressions that were close to what you said. Let me read you some of the answers.
“I like the simplicity but how at the same time, it's very particular.”
“Even with an item I bought over 10 years ago, wearing it for the first time again in a few years, I can often find new ways to appreciate it”
“The colors, materials, and silhouette are simple but exquisite.”
“I still have very fond feelings towards the pair of trousers I have which led me to become more interested in clothing”
I was surprised to see that everyone was so attached to their items, and that there were so many similar opinions.
Kurokawa) I was also surprised when I received the questionnaires from you.
I looked through everything, and I was so happy that [the customers] felt the same way as us.
I was surprised to see in words that our thoughts and what our customers felt were so close to each other. That night, I almost cried while drinking at home.
Tono) Knowing what you’re trying to convey is getting across is a very happy feeling.
Kurokawa) Also, Saisako, I was impressed you could ask these questions (laughs).
It’s hard to ask these things from customers, don’t you think?
Saisako) I know. I normally don’t have the opportunity to ask these kinds of [questions].
However, thinking about this conversation we planned on having, and since we have been receiving more inquiries from customers about PHIGVEL products after doing a total of two events, I thought might as well, and went for it.
This kind of opportunity is rare, but important. This in December it will be our third one, I hope everyone comes!
Tono) Oh, right, it’s that time of the year already. I’ll start getting ready for it.
Saisako) Do you have any impressions of Hiroshima? Until now we’ve done two events there, and last time we even stood at the store. Also, any impressions on our events?
Kurokawa) I couldn't go there for the first one (December 2020) due to COVID-19, and when I finally got there for the second one (June 2021), I felt that there was a very wide range of customers.
I was able to talk to young customers, and there were many older customers too, my impression was that it was an event where we were able to introduce [our products] in a good atmosphere.
I think age groups tend to polarize toward one direction or the other, so it was a strange feeling.
Also, NEAT's event was being held at the same time, and it was interesting to be able to do [our event] in the same space. We’ve remained friendly even after, and I thought it was an event that could only be experienced [in Hiroshima].
Tono) Kuro-chan (Kurosawa) summarized what I wanted to say, that's exactly right.
To be honest, I wasn't good at events from the start.
Maybe I haven’t been so aggressive towards them until recently because they would always make me think about various things like the brand's position…
Saisako) Do you mean that since we have been holding events these past few years, your way of thinking has changed?
Tono) I think it's one of the things that’s changed. Something that has actually changed in our long-standing attitude of trying not to change.
Honestly, there was a part of me that had been a little cynical about these things. I also didn't feel the need for it too. As we continued as a brand, there was a time when we wanted to establish our own position, and when we cut off the various things that we could do, I felt that what we were doing was becoming very limited.
I realized that we’d become a brand that's hard to come by if things kept going on like this (laughs).
Of course, thanks to that, it became an important period to concentrate on making things...
Apart from that, there was a change in my way of thinking, and now by doing events, I think there are certain things I can start to see.
I’m very glad because actually participating in events has allowed us to connect with customers in locations where we haven’t been able to meet them before and also has allowed us to get a feel of that said place.
Kurokawa) There are certain things you can't feel unless you go to that place.
Tono) In the end, it’s about “people”, but there are certain people and events that you can only meet at certain places, and I’m very drawn to them. It's refreshing because we haven't been too aggressive in that area until now, and there are many things that we can learn from.
Saisako) I think it is valuable that such places and opportunities are created.
Therefore, I wanted to leave something behind for our 3rd event, so I asked for an exclusive item to be made for Hiroshima.
Kurokawa) We've been talking about it for a long time, and have finally managed to realize it this time.
Saisako) Yes, it’s finally taken shape.
I was thinking about [making an exclusive item] since the first event, but I think it was only possible to realize it through doing repeated events.
We’ve managed to do it because we had good experiences with our brand/customers.
It's taking advantage of my authority, but what we made is an item that I want to wear more than anyone else (laughs).
Tono) That's the most important thing.
We're making things by focusing on what we like.
I thought to myself that we managed to make something great when I first saw the sample.
Kurokawa) It's simple, but it’s been well devised, it's a new model that we haven’t seen before.
Saisako was saying how he wanted to make an item like a uniform, that can be shared by both customers and shop. I thought that was a great concept, and I'm glad that it was able to be realized.
It would be interesting to have various customers of different ages and styles wear it and share [this uniform] with us.
Tono) These types of changes make us more excited.
Saisako) Now I want to introduce this as soon as possible since I got the seal of approval from both of you. I’m looking forward to introducing this [item] with you guys. Thank you!
Tono and Kurokawa) Of course, we’re looking forward to it as well. See you in Hiroshima!!
End
-about-
PHIGVEL
With the concept of "NEW CLASSIC” based on general American casual and military wear, paying respect to original pieces and creating authentic designs.
Sublimating [designs] to a modern feel by adding and subtracting a bare amount of elements. Developed with the aim of creating high-quality and dignified products with an emphasis on patterns, details, and materiality.
英訳
和田 裕太
在籍店舗/ref.