RIVAの小さな料理と小さな器たち。

広島の繁華街、新天地の路地裏にある広島郷土料理の店、RIVA。こう文字にすると、どんなお店を想像されるだろうか。おそらく、広島の郷土料理そのものがイメージできない方がほとんどだろうし、何か、老舗だったり、民芸調だったり、物々しい雰囲気がするかもしれない。中にはお好み焼き?と思う人もいるかもしれないが、それはあくまで広島人のソウルフードであって、郷土料理とは別物だ。ちなみに別腹でもある。

話が少しそれたが、とにかく、広島郷土料理の店、RIVA。もしも、住所だけを頼りに訪ねたら、あれ?と思うだろう。まず目に飛び込んでくるのは大きな暖簾だが、そこにRIVAの文字はない。しかも、見る限り和菓子店だ。それでも勇気を出して、カラカラと戸を開けてみよう。入って正面右に、細い通路がある。そこを通りぬけると、つきあたりがカウンター。1階、2階には個室も数部屋ある。和ではあるが、老舗でも民芸風でもない、モダンな店構えだ。確かに、板前さんの白い作業着の胸元にRIVAとある。これで安心だ。和の店なのに、RIVAという横文字が新鮮に映る。座席に腰をおろし、さてメニューを…というところで、また予想を裏切られる。メニューはコース料理のみ。月がわりでその時の旬の味が楽しめる内容となっている。まずは前菜からはじまり、そして、お凌ぎ、椀物、造り、焼き物、島寿司、蒸物、揚物、箸洗、肉料理、飯物、最後には入口にあった和菓子屋の生菓子にお抹茶。続々と出てくる料理はとにかく少量で種類が豊富だ。少しずつ、地元の素材や珍しい郷土料理を楽しんでいるうちに、いつの間にかお腹がいっぱいになっている。私感だが、この店で食事をするなら、ぜひカウンターをおすすめしたい。カウンターなら、出来たての料理をおいしいうちに食べることができるし、料理の由来や食材の話を板前さんに質問してみても楽しいだろう。

ちちなみに、今回の特集のトップの写真は、この小さな料理の秋のコースを東屋の染め付けの小皿や碗に盛りつけていただいたものだ。このシリーズの器は、薬味入れやお漬け物用にと普段使いで重宝することが多いが、RIVAの小さな料理のおかげで立派にテーブルの主役となった。同じ種類の食器を使う洋食のコースとは違って、和食は通常陶器や漆器など様々な素材の器を用いるが、こんな楽しい使い方があったんだなぁ、と新しい発見に嬉しくなった。ただし、家庭では代償として大変な労力を要することになりそうだ。

ささて、気になる値段の方だが、なんと3,990円(税込)。こう書くと、どこかのテレビショッピングのようだが、本当にちょっとびっくりするお値段だ。定価は5,250円(税込)だが、2011年4月のオープン以来、特別価格で提供されているそうだ。いつまでなんですか?とオーナーに聞いてみたが、決めていない、とのこと。行くならこの期間がおトクなのは間違いないが、定価でも十分満足できるだろう。広島には、もちろん他にも郷土料理の老舗店やご当地の食材を食べさせてくれるお店はたくさんある。しかし、その多くは敷居が高く、気軽に立ち寄れるお店は少ない。ややこっそり感のある通っぽい店構え。お箸はもちろん、会話もお酒も進む豊富な品数。上質な空間とは裏腹な手頃な価格。地元の人すら知らない郷土料理を知ってもらい、満足して帰っていただくことで、広島をもっと楽しんでいただける場所にしたかったというオーナーの心意気が随所に感じとれた。ただし、最後に1つ注文がある。現在夜の営業のみということだが、広島をもっともっと楽しんでいただくためにも、ぜひ朝食を、しかも個人的には、朝がゆを提供してほしいのだが、どうだろうか。 RIVA[リヴァ]/広島県広島市中区新天地1-17
tel.082-545-5360 www.hiroshima1958.com

 

RIVA Another Story

RIVAはHiroshima1958という写真集がお店づくりのモチーフとなっている。この写真集には、フランス人女優、エマニュエル・リヴァが1958年、「ヒロシマモナムール」という映画のロケの合間に撮影した広島の風景や人々がおさめられている。戦後の写真を集めた本なのに、明るく、今の私たちから見ても未来を感じるとオーナー。どこか洋書っぽさのあるデザインも好きで、装丁家に会いに行ったほど。2階に上がる階段の壁は本の2枚目のあずき色と同じ色だ。和の中にあるモダンさ、広島を知り、楽しんでほしいという想いが、お店の随所にちりばめられている。写真集を見て、お店に訪れるのもまた楽しいかもしれない。